静岡市美術館のヴラマンク展に行ってきました。
ヴラマンクと言うと、日曜画家だった亡き叔父が好きだった画家です。
叔父の家の居間には、ヴラマンクの作品のレプリカが飾ってあり、それを見る度子ども心に(暗い絵だな)と思った事を覚えています。
叔父は紫陽花をよく描いていました。
叔父の絵は、絵の具をこれでもかと盛って、絵と言うよりは造形のような作品でしたので、叔父の好きなヴラマンクも、てっきりそんな画風の画家だと思い込んでいました。
けれど、それは思い違いだった事に気づかされました。
モーリス・ド・ヴラマンクは、20世紀初頭に活躍したフォーヴィスムの画家です。
母親はピアノ教師、父親もバイオリニストという音楽家の家に生まれ、幼少期より両親から音楽の手ほどきを受け育ちました。
食べられない頃はバイオリンを教えたり、オーケストラで演奏して食いつないだ事もあるようです。
画家としての教育は受けた事がなかったようで、理屈ではなく情動に任せて筆を走らせた画家でした。
そして、私にとって初めて観る本物のヴラマンク。
ヴラマンクの作品特有の太く力強い黒の輪郭から浮かび上がる風景や静物、それらは温かみのある色彩を纏って、どこか詩的なものを感じさせるものでした。
百聞は一見にしかず。
長年抱いてきた私の勝手なイメージとは真逆の心に響く作品の数々。
本当に行って良かったと思いました。