長旅から帰ってきました。
シユ・シャオメイという中国人ピアニストの自伝です。
いつの間にか自動録画されていた彼女のドキュメンタリー番組で、私はシャオメイというピアニストを知りました。
彼女の青春期は文革の真っ只中。
文革と言うと、山崎豊子の「大地の子」や映画「覇王別姫」を思い出しますが、芸術家や知識人、またはブルジョワが、ただその身分故に糾弾された時代です。
彼女も音楽を学ぶ学生というだけで再教育が必要と見なされ、収容所に送られました。
5年にも及ぶ過酷な収容所生活の中、彼女を支えたのは他でもない”ピアノ”でした。
シャオメイは、それと分からないよう梱包してもらい、実家から収容所宛にピアノを送らせたのです。
このピアノによって、シャオメイは自ら「冷蔵庫」と呼んだ収容所の一室で指と心を温め、未来への希望を見出していきました。
そこから先、アメリカ・フランスと渡り歩いた彼女が自らの腕を頼りに遅咲きのピアニストとして大成していくストーリーは、現実を超えてまるでファンタジーの様です。
そんな彼女の奏でる音楽は、どこか明るく躍動感に満ち、そして不思議な癒し効果があります。
機会がありましたら是非聴いてみて下さい。
この本は、また別の方のところに旅立つ予定です。
言っていただければ、お貸しします。