アドベントカレンダーのツリーが、大分賑やかになってきました。
さて、今回はドビュッシーのアラベスクの第2番です。
流れるように優美に演奏される第1番と性格を異にする第2番は、全曲通して躍動感に満ちています。
特に冒頭の装飾的な音型は、伝統的なクラヴサン音楽の技法を取り入れていると言われています。(青柳いづみこ著「指先で感じるドビュッシー」より)
クラヴサンとは、一般的に知られるチェンバロの事です。
フランスでは、クラブサンと呼ばれています。(ドビュッシーはフランス人)
一見するとピアノと大変似ていますが、実は大きく異なるところがあります。
それは発音方法です。
チェンバロは、弦を爪で引っ掻く事により発音するため、弦をハンマーで打って発音するピアノと違って、重さによって音量を変えることができないのです。
そのためクラヴサンの鍵盤はとても軽く、信じられないくらい速く指が回ります。
又音が長く続かないため、当時の作曲家は様々な装飾音を駆使して旋律を飾り立て、手の素早い交差や歯切れの良いスタッカートで華麗さを演出しました。
アラベスク第2番冒頭の音型では、このクラヴサン曲を思わせる軽やかな演奏が求められています。
このパッセージを音の粒を揃えあざやかに演奏するためには、まずは余分な圧力をかけない事。
そして、指を伸ばし気味に演奏する1番と違って、曲げた指で演奏する事がポイントとなります。
又そんな躍動感溢れる第2番ですが、決して機械的にならないように、どこかフランスものらしい洒落た雰囲気を損なわないよう演奏してもらえたらと思います。
ところで、先日放送を終えた「トットちゃん」ですが、その中に黒柳徹子の恋人として出てきたピアニストがいました。
その彼は、ドビュッシーのアラベスクを得意としている設定で、ドラマの中では彼とのエピソードの時、この第1番が繰り返し流されていました。
又その彼だけは、最後まで本名を明かされませんでしたが、ネット上ではピアニストのワイセンベルクのことではないか?などまことしやかに囁かれています。
本当だったら素敵だと思うのですが・・・どうなのでしょう?
余談でした。