今回は、モンクールのプログラムの中からショパンの作品を2つお届けします。
と言っても本番目前ですので、できるだけ簡単に。
ショパン本人については、彼のお誕生日の時に書きましたので、少しだけ補足するに留めます。
ショパンは20歳で政情不穏な祖国ポーランドを出て、その後2度と祖国の土を踏むことはありませんでした。
そんな東欧からやって来たショパンの出現は、西欧の人たちにとって、少なからずセンセーショナルなものとして受け取られたようです。
それは、ショパンのピアノ奏法に対する驚きでした。
当時の人々を驚かせたショパンの奏法・・・
その一つは、指づかいです。
ショパンの指づかいは、手の静止を基本としています。
今では当たり前となっていますが、力を抜き、そのままのフォームを崩さないで弾くショパンの指づかいは、当時の人々にとって画期的なものでした。
また、訓練によって各指を均等に鍛え上げようという当時の風潮とは逆に、ショパンはそれぞれの指の個性を認め、弛緩した腕の使用と歌う(声を出して歌うのではなく、ピアノで歌う)ことによって、その機能を発達させようとしました。
他には、それまでタブーとされていた黒鍵への親指の使用や、同じ指での同音連打、隣りあった鍵盤へ同じ指を滑らせて使うなどの運指法等、ショパンは近代ピアノテクニックの扉を大きく開いたのです。
そんなピアノ奏法の革命児ショパンの作品から、一つ目は「アンプロンプチュ第1番」です。
アンプロンプチュは、ラテン語で「準備の出来ていない」という意味を持ち、即興曲と訳されています。
とはいえショパンの即興曲は、「アドリブで即興的に演奏されたもの」ではなく、即興的雰囲気を持ち、比較的自由な形式で書かれた作品となっています。
又ショパンが作曲した即興曲は4曲で、いずれも3部形式で書かれています。
中でもこの第1番は、比較的平易に書かれているため、最も有名な「幻想即興曲」に次いでよく演奏される作品となっています。
強拍に装飾音を置いてアクセントの位置をずらしたり、弱拍に跳躍を持ってきたりと、随所に即興的に聴かせるための工夫が見られます。
次に、「ソナタ第3番 第1楽章」です。
この曲は、1844年ショパンの円熟期に書かれた作品です。
ショパンの力強く雄大な一面を存分に発揮させた傑作です。
冒頭は歯切れの良い下降主題から始まり、続く第2主題は、まるでノクターンのようなえもいわれぬ美しいメロディーで綴られています。(弾いていてもうっとりします。)
難度の高い曲ですが、ショパンの奏法( 弛緩と歌わせること )を意識して弾くことで、思いの外演奏しやすくなるという印象です。(と言って、実際上手く弾けるかどうかは別問題。)
は〜〜っなんとか本番前に間に合いました。
ホッ